研究課題/領域番号 |
17530343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
田中 隆雄 青山学院大, 経営学部, 教授 (40089082)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 会計学 / 企業価値 / 業績評価 / ステイク・ホルダー / コーポレート・ガバナンス |
研究概要 |
コーポレート・ガバナンスとは、欧米では、情報の非対称性、契約の不完備性に起因する経営者のモラルハザードを防止し、経営者(エイジェント)が出資者である株主(プリンシパル)の利益を擁護するよう経営者を律することであると理解されている。すなわち、有能な経営者を選任し、経営者のモラルハザードを予防し、経営者に十分な努力を行わせる仕組みを作ることがコーポレート・ガバナンスである。コーポレート・ガバナンスが機能すれば、経営者は環境に適合した経営を行うので、企業はより高い成果をあげ、結果として企業価値が増大する。しかしながら、どのようなガバナンス機構が経営者の高いパーフォーマンスもたらすことになるかは、国により、また環境により異なる。日本のコーポレート・ガバナンスはアメリカのそれとは対極の位置にある。すなわち、日本のガバナンスは異なるステイクホルダーの利益をバランスよく追求する点では優れているが、経営者の高いパーフォーマンスを導く点ではアメリカ型のガバナンスが優れている。これまでのところアメリカの先行研究をレビューし、日本企業の実証研究を行う準備を進めてきた。先行研究のレビューによれば、アメリカでもガバナンスの仕組みを実証的に評価する方法については、必ずしも共通の認識を得るに至っていない。しかしながら、最も注目すべき研究の1つはGompers, Ishii and Metrick(2003)の研究であり、彼らの研究については田中(2005)でも概略を紹介した。Gompersらの研究は、買収防御策の程度を15段階に指数化し、ガバナンス・インデックスと呼んでいる。買収防御策が増加するほどガバナンス・インデックスは大きくなる。ガバナンス・インデックスが5以下の企業を民主的ポートフォリオといい、14以上を独裁的ポートフォリオと呼んでいる。そのうえで、異なるポートフォリオの投資収益率を比較したところ、民衆的ポートフォリオの収益率が独裁的ポートフォリオよりも高いという実証結果を得ている。また、トービンのQによって企業価値をそくていしたところ、ガバナンス・インデックスが1あがるごとにトービンのQが11%低下するという結果をえている。Gompersらは任期別取締役会など24の買収防御策によってインデックスを作成している。この実証モデルは大変興味深いモデルであるが、日本においてはアメリカのように、買収防御に関連する法律も未整備であり、企業の防御策のきわめて限られている。それゆえガバナンス・インデックスを作成することは困難であるが、買収防御策を導入した企業とそうでない企業の企業価値を比較することは可能であるので、そうした方法で検証を企てている。また、従来から行われている株式の所有構造の比較に加えて、株式の相互持合いの解消や執行役員制の導入が企業価値に与える影響についても検証を試みている。
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