研究概要 |
1.援助行動発動時における社会的スキル,共感経験,援助行動経験の影響について 援助行動を経験したことがある者とない者とでは,次の同様の場面で援助行動を起こすのかどうか,とくに失敗や不適切な援助経験をした者が,次の機会に援助行動をしない理由について分析した.また援助行動経験とその援助が成功したのか否かで次の援助場面での援助意思にどのような影響があるか,援助経験,社会的スキル,共感経験等の影響について調べた.応用心理学研究第31巻2号掲載. 2.援助行為についての援助者側と被援助者側との認識の違いについての研究 同じ援助場面でも,援助者と被援助者とで状況分析が異なることを実証した.援助者側の方が状況を軽く見ているが,援助者の行為について被援助者側は好意的に評価していることが明らかとなった.さらに状況認識の相違について,パーソナリティ変数を入れて再分析した結果,一部パーソナリティの影響が明らかになった.これにより援助場面において,援助者が行う援助が,必ずしも被援助者に対する適切な援助につながっていない可能性があることが示唆された.東海心理学研究第2巻掲載. 3.不適切な援助を受けた場合の被援助者の感情についての研究 必ずしも適切とは言えない援助の行動を受けた際に,被援助者は援助を受けることで感謝等の肯定的感情を持つ一方で,否定的な感情も生起すると考えられる.不適切援助を受けた際の否定的感情の構造を明らかにした.中部大学人文学部研究論集17号掲載. 4.大学生の介護看護場面における感情について 援助者-被援助者関係に関する研究として,介護看護場面における両者の感情の錯綜について検討した.大学生を対象として,介護や看護の経験をたずね,その際の相手に対する感情状態をたずねた.また相手が援助者である自分に対してどのように感じているか推測させた.援助者側である介護や看護の立場にある者が,被援助者側の感情状態を推測することの難しさが示された.本研究のデータについては,日本社会心理学会第47回大会発表論文集pp.548-549掲載された.
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