研究課題/領域番号 |
17530508
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床心理学
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研究機関 | 神戸大学 (2007) 奈良女子大学 (2005-2006) |
研究代表者 |
森岡 正芳 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (60166387)
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研究分担者 |
山口 智子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (00335019)
本山 方子 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (30335468)
中間 玲子 (水間 玲子) 福島大学, 人間発達学類, 准教授 (80343268)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,690千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ナラティヴ / 心理療法 / フィールド研究 / 対話 / 臨床心理学 / フィールド調査 |
研究概要 |
ナラティヴアプローチは、人は生きている現実を積極的に構成し意味を作り出す存在であるという人間観が背景にある。生きている現実から素材を選択し、その場の文脈に応じてつなぎ、まとまった言葉にしていく行為がナラティヴである。本研究ではナラティヴの心理療法への基礎づけをおこなうために、生活場面および臨床場面での会話を微視的に分析し、治療的会話を通じて意味の生成や自他に対する評価の変化のプロセスを検討した。以下の点が明らかになった。 1保健医療看護領域も含む臨床実践研究において、ナラティヴという概念がどのように用いられているかを整理検討し、共通要因を抽出した。ナラティヴのどの側面に重きを置くかは論者によって違うし、また臨床場面での対象のちがいによって、ナラティヴという概念自体も変化しうることを解明した(森岡2007;吉村・紙野・森岡2006)。2小さなプロット(little plot)のはたらきに注目し、カウンセリング対話を分析した(森岡2005)。会話において新しい産物(new outcome)が生じる契機となるのは、対話関係のなかで他者の視点をくぐり、自己の発話の意味をとらえ直すことである。語り手が自分の言葉を「内的に説得力のある言葉」(Bakhtin1996)として、受け取ることに治療的な意味がある。 3行為としてのナラティヴによって、語り手の主体感覚を支えることができる。対話者双方に観察主体を育て、自己内対話を生む。そこで問題を外在化する視点を得る。 4ナラティヴにおける聞き手の積極的なはたらきをとらえた。聞き手が積極的な会話を維持し、語り手と聞き手が協働的に現実を構成する。聞き手がとらえたものを含めてのナラティヴ記述に意味がある(吉村・紙野・森岡2007;森岡2006)。 今後の研究として、より大きな枠組みの中でナラティヴ視点の臨床実践可能性を探ることがもとめられる。
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