研究課題
基盤研究(C)
本研究では、Borderline Personality Disorder(BPD)と診断される人について虐待既往の有無によって心理面接やロールシャッハ法で異なるという実感に基づき、これを明らかにすることが心理支援に役立つという研究上の意義をもって計画を立てた。その第一歩として本研究では、BPDと診断され虐待既往を有する成人事例において、その体験がロールシャッハ・プロトコルにどのようにあらわれているかの事例研究(質的研究)を行った。さらに、テスト・バッテリーや心理面接における転移・逆転移についても検討し、虐待既往者への心理支援について考察を加えた。平成18年度(2006)は、著書『心理査定実践ハンドブック(共著)』の「ロールシャッハ法12名大法」(創元社)を執筆し、論文では「「心を開けるにはどうすりゃいいか」と来談した23歳男性事例の再検討-ロールシャッハ法にみる心理的虐待既往の現れの視点から-」を鹿児島大学大学院心理臨床相談室紀要第3号に投稿・掲載された。さらに、研究発表「自分の内面を変えたい」と訴える44歳男性のロールシャッハ・プロトコル_虐待サバイバーの視点からみた病態水準と状態像の理解」を2006年度名古屋ロールシャッハ研究会にて口頭発表した。平成19年度(2007)は、蓍書『心理臨床現場に生かす臨床心理アセスメント』において第14章「大学生を含む成人事例」を執筆した(小山充道編 金剛出版、初校・印刷中)。また、研究発表として、「ロールシャッハ法に現れる虐待既往の特徴_テスト状況、プロトコル、面接関係の検討から-」を日本ロールシャッハ学会第11回大会にて口頭発表した。一つの紀要論文(「自分の内面を変えたい」と訴える40歳代男性のロールシャッハ・プロトコル-虐待サバイバーの視点からみた病態水準と状態像の理解)が投稿・掲載された。さらに二つの論文を学会誌に投稿し、審査中である。これらの研究の総括として、報告書『ロールシャッハ法に現れる虐待既往の特徴』(全64頁)を作成した。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (5件) 図書 (5件)
鹿児島大学心理臨床相談室紀要 第4号
ページ: 15-23
The Bulletin of Kagoshima University Graduate School's Clinical Psychology Consultation Office No.4
Report of Research Project, Grant-in-Aid for Scientific Research a 64-page report
ページ: 64-64
Chapter 14. Adult case examples including university students(Kongo Shuppan)
ページ: 419-425
鹿児島大学心理臨床相談室紀要 第3号
ページ: 5-14
The Bulletin of Kagoshima University Graduate School's Clinical Psychology Consultation Office No.3
鹿児島大学大学院心理臨床相談室紀要 第3巻
Assessments, Part 2, Section 1, page 12. Nagoya University Edition(Sogensha)
ページ: 277-280