研究概要 |
本研究の目的は,全国に公立学校のスクールカウンセラーとして配置されている臨床心理士に対するサポートの実態把握と,今後の課題検討である。平成17年度の予備調査では、東京臨床心理士会所属の臨床心理士に、スクールカウンセラー(以下SCと略す)として活動する上でのサポートの状況を調査した。それをもとに質問紙を作成し、平成18年8月から10月にかけて、全国調査を企画実施した。東京臨床心理士会及び(財)日本臨床心理士資格認定協会の了解を得て、既存の名簿により郵送調査した。回収率は予備調査33.4%、全国調査37.8%である。調査内容はほぼ共通であるが、予備調査では一部自由記述での回答を求めた。スクールカウンセラー(以下SC)経験者には、経験年数、SC以前の臨床経験年数、経験校数、学校に対する認知度、初任者及びSC継続のための研修歴、所属の都道府県臨床心理士会(以下県士会)での初任者研修・サポート組織の有無、県士会での研修内容、個人スーパーヴィジョン(以下SV)を受けた内容、連携外部機関、困った経験、他職種からの援助期待を聞いた。非SCとの共通項目は、県士会のSCへのSVシステムの有無、スーパーヴァイザー(以下ヴァイザーと略)経験及び講師経験、ヴァイザーに望む資質、連携経験とSCの印象、個人属性として、主たる臨床現場及び所属県士会である。ヴァイザー及び講師経験、ヴァイザーに望む資質、SCの印象で、経験者、非SC間に差がみられた。また経験校数、初任者研修の有無、サポートシステムのあり方、研修内容、連携機関等に関し、自治体規模による差がある。 さらに、資格取得直後のSC4名に聞き取り調査を行った。 今後の課題として最も重要なのは、個人SVシステムの充実、県士会規模によるサポートシステムの違いへの対応、SCの県を越えた人事交流、初任者への徹底したサポートであることが明確になった。
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