研究概要 |
1)身体感覚,ボディ・イメージ,食行動,自己意識等の関連研究について、感性教育、身体性、情動、栄養など広い視野から文献資料を収集した。 2)青少年を対象に、日常生活における「身体感覚と自己評価」の関係について、調査を実施した。内容は、食習慣、摂食態度、自尊感情、PBI、身体感覚イメージ、TCIなどである。身体感覚を健康心理学的に考えると、子どものときからの様々な生活習慣、生活の変化等が関わり、短絡的な行動、忍耐力のなさ、緻巧性の欠如等、様々な意識や行動パターンの変化に影響しているとみられる。これらは、日常の生活習慣、健康意識、食行動、社会的なスキルなど様々な問題とも関連することが推測された。生理社会心理的モデルのように、総合的・全体的視点から心身の健康を考える必要が指摘される。 3)「身体接触」「食行動」について、家庭や幼稚園などの実際場面での観察を行い、画像としてデジタル記録し、できるだけ多くの場面でのデータを収集した。特に「食行動」に関しては、幼稚園や家庭などに協力を依頼し、幼児の昼食「弁当」それ自体や食に関連する社会的スキルについても観察し、デジタル記録した。 さらに幼稚園児に面接調査を実施し、1)弁当場面での感情生起、2)弁当内容について、3)弁当を作る過程への興味、4)父親による食事作り参与、5)子ども自身の家事参加などについて質問し、食に関連する情報、家庭での養育者との相互作用についてインタビューした。 本研究が基本的に目指したのは、子どもの幼児期の食の場面を実際に見聞きすること、記述式の調査では得られない食行動に関する様々な視点からの情報を得ることであった。観察を通じて、被調査者の認識のみならず、実際の行動がどの様なものかを捉えることを試みた。その結果、全体的な傾向として、弁当(食事)を通した自己・家族に対する認識の発達、食を通した親子相互のやりとり、についての特徴が示唆された。
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