研究課題
基盤研究(C)
本研究は、一方で(ア)教育における「能力主義」とはいかなるものなのかを、改めて原理的に社会理論的に考察すること、他方で(イ)今日の教育の実態の中では、能力主義の原理がどのような顕れ方をしているかを社会調査の方法によって把握することを課題としたものである。『研究成果報告書』は、これら2つの課題のうちとりわけ、教育における能力主義の実態論である(イ)の課題に関わる調査票調査の結果を報告したものである。この調査は、子ども・若者の意識・行動が、教育における能力主義によって、教育領域外のそれとも絡み合いながら、どのように規定されているかを実証的に明らかにすることを目的として、全国の全日制高等学校からランダムに抽出され調査協力の承諾が得られた34校の第2学年の生徒(有効回収数2475名)を対象に2007年6〜9月に行われた。調査から得られた知見は様々あるが、例えば、i)「能力主義肯定」の意識は、所属学級の「ランク」がより高い生徒においてより強く見出されること、ii)しかし同時に、そうした意識は「ランク」の違いを問わず調査のサンプルとなった高校生の間に広く見られるものであること、iii)他方、「平等主義肯定」の意識もまた、高校生の間でそれに劣らぬほど広く行き渡っていること、iv)これら2つの意識の間には、正または負の相関が見られるというよりも、無相関の関係があること、などである。
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琉球大学教育学部紀要 第68集
ページ: 79-96
120001371921
Bulletin of Faculty of Education, University of the Ryukyu No. 68
硫球大学教育学部紀要 第68集(印刷中)