研究課題/領域番号 |
17530622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育社会学
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
山本 須美子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50240099)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,140千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 240千円)
2007年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 教育人類学 / 学校適応 / 中国系第二世代 / EU / アイデンティティ形成 / イギリス・フランス / イギリス、フランス |
研究概要 |
本研究の目的は、EU(特にイギリスとフランス)における中国系移民の第二世代を対象に、文化人類学的な現地調査を行ない、中国系第二世代の主流社会の学校への適応の実態とその要因を解明することであった。 1.イギリスにおいてもフランスにおいても中国系第二世代は、正規の学校で良い学業成績をあげていることが、資料からも現地調査からも明らかになった。本研究はその要因を解明するために、まず両国の中国系生徒を取り巻く教育環境を明らかにした。a、中国語補習校での教育、b、正規の学校での教育について現地調査を行った。異文化の共存という課題に対して言説レベルでは異なっているイギリスとフランスであるが、正規の学校において実際に中国系生徒が受けている文化的背景に配慮した教育には大きな違いがなかった。また、両国の中国語補習校も正規の学校における中国語教育も、中国系の子どもの背後にある様々な中国語方言に代表される家庭文化の差異を消去し、簡体字とピンインによる北京語によって統一していく方向性を示していた。 2.イギリスとフランスの中国系第二世代の学校での成功は、第二世代のインタビュー調査から聞き取った、第一世代と第二世代に共通する、成功のためには学業成績を重視する「成功の民俗理論」の共通性によって説明できた。第一世代の成功の民俗理論は、移住後の生活を通して生み出されたものあり、また第二世代のそれも、そうした親に影響を受けながら自ら主流社会の教育を受ける過程で生み出されたものであることがわかった。それによって、学校での成功は「中国系」という文化的背景にある価値には還元できないことを示した。 3.イギリスとフランスの20歳代を中心とする中国系第二世代へのインタビュー調査の結果から、多文化主義を主流の言説とするイギリスよりも、移民の「統合」を理念として掲げるフランスの方が、主流社会の一員として自らを位置づける者が少なかった。その理由は複雑な要素がからみあっているが、今後EUにおいて文化的背景の異なる人々の共存を考えていく上で非常に示唆に富む結果を示した。
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