研究概要 |
本研究は,ものづくり教育を中心とした交流学習型・地域連携型の「総合演習」カリキュラムの開発をテーマとし,開発,実践,改善,評価の4段階で行われた. ものづくり製作の題材開発にあたっては,教育の系統性を重視した上,幼稚園児・小学生・中学生のそれぞれの発達段階を視野に入れ,身近で,リサイクル可能,かつ,加工しやすい材料を選定し,ユニークな加工技術,県産材の利用,チャレンジ精神の育成効果が図られる目標を掲げて,体験型学習に相応しい題材として,子ども達の発達段階に応じた難易度別の製作品を多岐にわたって多数考案した. 本研究の実践の場としては,「くまもとものづくりフェア」を夏休み期間や休日・週末に,熊本県や市の施設で3年間計6回開催した.熊本大学の教職員と学生,技術・家庭科の現職教師,熊本県技能士会員,EMS社員,伝統工芸館ゆずり葉の会のメンバーで総勢60人がスタッフとして結集し,子ども達のものづくり活動に対する共同技術指導体制を作り上げた. ものづくりフェアの企画運営には,技術科教員養成課程に在籍している大学生と大学院生の積極的なかかわりを持ちかけ,オフキャパスで行われる技術教育の実践活動を通して,基礎知識と基本技能の定着を促し,技術的課題解決能力の向上,責任感の強化,技術教育指導者に資する養成活動としてねらいを定めた.教育インターンシップに位置付けられ,実施してきたものづくり指導活動は,教員養成大学と中学校の現職教師との連携プレーのみならず,他団体との交流・協力による地域教育力の向上にも役に立てた.特に,幼稚園児・小学校生向けに,ものづくりに親しませるイベントの開催は,早い段階で興味関心の増進と同時に,製作に関わる知識と技能に対する学習の動機付けと意欲喚起に役に立ち,ひいては,中学校技術・家庭科の教育基盤作り,技術的課題解決能力の系統的な育成において重要な意義をもつものと考えられる。
|