研究概要 |
有限可解群の表現に関する問題の中に有名なM-群の問題がある。即ち「GがM-群のとき、その正規部分群はM-群か?」というものと「M-群の、そのホール部分群はM-群か?」というものである。ここでM-群とは全ての既約指標が部分群の1次指標の誘導指標として得られる群のことである。 DadeはGが偶数位数のときは前者の予想が成り立たない反例を示したが、それは偶数位数という性質を本質的に用いるものであった。長年の研究にもかかわらず、奇数位数の場合は上記の予想の反例は見つかっていない。後者の予想に関しては、反例を示すことができた。この反例の中には偶数位数の群も奇数位数のものもあり、これによって後者の予想は完全に解決した。 またIsaacsによって提出された予想「積が既約指標となる忠実な2つの既約指標をもつ可解群は巡回群である。」についての研究も行った。そしてこの予想Aを証明するには予想B「Gは可解群、Fを標数pの体として、Vを既約なFG-加群とする。さらにG=XY(X,YはGの部分零洋)でX,Yはそれぞれ零でないVの元を固定するならば、Vは自明なFG-加群となる。」を証明すれば十分であることがIsaacsによって証明されている。 上記の予想Bについて、Fが標数pの体でG/Op',p(G)(Op',p(G)はp-nilpotentなGの最大正規部分群)がべき零群なら予想Bが正しいことを証明することができた。そして,これを用いて群GのFitting heightが4以下ならば予想Aが成り立つことも証明することができた。また群GがM-群のときに予想Aが成り立つことも証明することができた。 なおこの研究に関して和田氏(東京農工大)と数回の研究打ち合わせを行った。また大竹氏(群馬大)にはp-モジュラー系に関する部分の証明をお願いした。また二宮氏(信州大)にも有益な助言をいただいた。
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