研究概要 |
(1)点付き代数曲穆のモジュライ空間の研究。与えられた数値的半群Nを持つ種数gの点付き代数曲線の同形類全体のなすモジュブイ空間M_<g,I>^Nを、数式処理システムSingularを用いて調べ、「種数gが6以下で、Nの生成元の個数が4以下ならば、ラジュライ空間M_<g,1>^Nは、(1つの場合を除いて)既約な有理的代数多様体である」という定理を得た。この結果は、論文「On the moduli space of pointed algebraic curves of low genus II-rationality-」にまとめられて、Tokyo J.Math.(2008)に掲載予定である。 (2)特殊線形群の有限部分群による不変式環の研究。4次特殊線形群SL(4)の原始的有限部分群(30種類)について、不変式環の生成元およびそれらの関係式を具体的に記述することが目的である。現在までに、位数の小さな10個程度の群については、生成元およびそれらの関係式を計算することができた。残りの群は、位数が大きく(数万程度)、計算は困難であるが、不変式環の広中分解を用いて計算できる見通しがつき、現在計算中である。 (3)代数的組合せ論とtoric多様体の研究。完備なtoric Gorenstein del Pezzo曲面は、2次元反射的整凸多面体と対応して16種類あるが、我々は、これらの曲面上の豊富な完備線形系による射影埋め込みのうち、最小の次元と次数をもつものを完全に決定した。さらに、この最小埋め込みの像の定義方程式を計算し、これを用いて、完備toric Gorenstein del Pezzo曲面が、いつ射影空間内で完全交差になるかを決定した。この結果は、プレプリント「On the projective embeddings of toric Gorenstein del Pezzo surfaces」としてまとめられ、現在、投稿準備中である。
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