研究概要 |
体上の多項式環の単項式イデアルでその剰余環がgeneralized Cohen-Macaulayになるものを構成する問題について、後藤四郎、奥平崇貴との共同研究によって、generalized complete intersectionと呼ばれるStanley-Reisnerイデアルのクラスを発見した。これは冪イデアルが全てgeneralized Cohen-Macaulay環を与えるようなStanley-Reisnerイデアルのクラスで、その極小自由分解が線形になるようなサブ・クラスも含めて、完全な組合せ論的特長付けを与えることに'成功した(第一、第二論文)。 また、この研究から派生して、Taylor自由分解が極小自由分解になるような単項式イデアルのクラスを発見した。すなわち、安定イデアルと呼ばれる特殊なクラスについてTaylor自由分解が極小になるための必要十分条件を与え、さらにそのような安定イデアルの生成元の形を完全に決定した(第三論文)。また、J. Herzogらとの共同研究の結果、上記必要十分条件はより広いcomponentwise linearないでアルの範囲まで拡張できることがわかった(第四論文)。 密着閉包理論との関連では、正標数の体上の有限生成次数付き多元環で、孤立非F-有理特異点になっているものの局所コホモロジーの消滅・非消滅次数についていくつかの新しい結果を得た。すなわち、P. Schenzel,後藤四郎らによって与えられたgeneralized Cohen-Macaulay環のUSD-列の理論とC. Huneke, K. E. Smithらの小平消滅定理に関する結果などを組合せて、孤立非F-有理特異点の局所コホモロジーの密着閉包と極限閉包による簡明な表示を与えた。その表示の応用として、コホモロジーの消滅・次数についてのいくつかの特徴づけを行った。さらに、特に孤立特異点の場合について、最高次の局所コホモロジーにおけるゼロの密着閉包が、低次の局所コホモロジーの消滅・非消滅次数にどのように関係しているかという問題に対して、ひとつの答を得た。
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