研究概要 |
2003年,D=A^2+2C, A/C∈Q[x]のとき,私たちは多項式Pell方程式X^2-DY^2=1が整数係数解をもつための必要十分条件を証明した.A/C∈Q[x]という条件を外すと,多項式Pell方程式は途端に難しくなり,散発的な結果しか知られていない. そこで,科研費補助金を用いてWebb教授の協力を得ながら,A/C【not a member of】Q[X]の場合についての研究を行った.まず,Dが4次の整数係数モニック多項式のときに,√<D>の連分数展開には,周期3のものがないことを示した.残念ながら,ここで用いた議論は拡張性がなく他の周期に用いるには別のアイデアが必要となった. 次に,私たちは,連分数展開で現れる部分商を計算するための式を解くことによって得られる有理点の位数とX^2-DY^2=C(C:定数)を満たすXの最少次数との間には関連があることを示した.さらに,多項式Pell方程式が自明でない解をもつための必要十分条件は√<D>の連分数展開の周期が偶数であることを示した.有理点の位数はMazurにより,12以下であることが知られているので,この2つのことから,多項式Pell方程式が自明でない解をもつための必要十分条件は√<D>の連分数展開の周期が2,4,6,8,10,14,18,22の8個の場合だけであることを示した. 最後に,周期が4の場合について,多項式Pell方程式は自明でない整数係数解を持たないことを示し,残りの周期6,8,10,14,18,22についても,多項式Pell方程式が自明でない整数係数解をもたないことを推測するに至った.
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