研究概要 |
2次元ファノ多様体をデルペッツォ曲面と言う.その例外因子の交叉の組合せ論は表現論とも関係が深い.射影曲面の4点ブローアップの場合,曲面は射影直線上の5点の配位空間でもあるので,5次対称群が作用している.その例外因子の交叉はべテルセン・グラフによって記述される.ペテルセン・グラフは6つの相補的5角形対を含む.なお,相補的5角形対は多重ゼータ値に関連していることが知られている. こうして5次対称群のペテルセン・グラフへの作用は,6点集合への固定点のない作用を誘導する.この作用は6点集合のある構造を保っているはずだが,それが双二十面体構造である. 双二十面体構造は,グ・タンデイークが定義を与えたものである.今回, 「双二十面体構造のモジュライは『6点集合の双対』である」 という観点から,双二十面体の基礎理論を捉え,これを散在型有限単純群であるマチウ群の構成に応用した.すなわち,5つのマチウ群を自己同型群とする,デザインとよばれる構造が,双二十面体によって自然に構成できることを明らかにした. たがいに双対な2つの6点集合の和である12点集合には,シンプレクテイック構造の類似である,5-(12,6,1)デザインの構造が自然に入る.その自己同型群が12次マチウ群である. 5-(12,6,1)デザインも双対をもつ.たがいに双対な2つの5-(12,6,1)デザインの和である24点集合には,5-(24,8,1)デザインの構造が自然に入る.その自己同型群が24次マチウ群である.
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