研究概要 |
線形符号の誤り訂正限界を研究する上で主要な課題は (1)既存のものより誤り訂正能力の高い新しい線形符号を構成する (2)存在が不明な非常に良いパラメータの線形符号(例えば、Griesmer限界で等号をみたすGriesmer符号)の存在・非存在を明らかにするの2つであり、最適線形符号問題と呼ばれている。また、このどちらを研究する上でも適用可能な(3)線形符号の拡張可能性に関する研究も重要である。例えば、(3)で新しい拡張定理が証明できれば、既知の符号に適用して新しい符号を構成することが可能になるし、ある種のGriesmer符号の非存在の証明に応用することも可能になる。 本研究では、まず3元線形符号の拡張可能性について詳細に調べ、その研究で開発した射影幾何を用いる手法により、4元線形符号についての拡張定理と3-weight(modq)なq元線形符号の拡張定理を新たに証明した。(1),(2)に関連する問題として、体の位数q,符号の次元kを固定して最小距離dの線形符号が存在する符号の長さnの最小値を求める問題にも取り組み、特に(q,k)=(3,6),(5,5)について多くの成果を得た。また、一般の(q,k)についてnの最小値がGriesmer限界+1となるdの範囲も新たに見出すことができた。(1)については、数学的な研究に平行して、コンピュータを用いた新しい符号の探索及び、発見された符号の解析による幾何学的再構成にも取り組み、成果を上げた。
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