研究分担者 |
飛田 武幸 名城大学, 理工学部, 教授 (90022508)
SI Si 愛知県立大学, 情報科学部, 助教授 (70269687)
日比野 雄嗣 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (50253589)
西 健次郎 名城大学, 理工学部, 講師 (30076616)
三町 祐子 名城大学, 理工学部, 講師 (00218629)
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研究概要 |
平成17年度,18年度の2年間科学研究費補助金を受けさせて頂き,研究活動に従事させて頂いた.今回の研究の目的は,確率論,解析学,非可換幾何,数論,計算機科学のそれぞれの専門分野から総合的に応用に適した無限次元確率解析を共同研究し,その立場からの量子化法,さらに量子情報解析として新しいアプローチを展開することにあった.平成18年度は主に17年度に得られた成果を発展させる方向で研究をすすめた.成果として,1)独立なレヴィ過程の差として表わされる確率過程を基にしたノイズの空間上でレヴィラプラシアンを考え,その生成する確率過程を構成した.レヴィラプラシアンが固有関数となるための必要十分条件も与えることができ,これが量子分解に繋がる.2)レヴィラプラシアンの定義域として,レヴィトレースに関するノルムによる核型空間をとることができ,この空間上で考えると,無限次元Wiener過程の生成作用素となることがわかった.この核型空間はAccardi氏達の導入したCesaro Hilbert空間とは異なり,新しい手法の発見となった.3)量子レヴィラプラシアンを定義し,1)でのレヴィラプラシアンの生成する無限次元確率過程の構成法を量子確率過程の構成に応用することも出来た.この成果により,量子確率過程は本質的には無限次元確率解析の立場から研究できること,申請者が研究してきた無限次元確率過程構成法は量子情報解析との橋渡しをすることがわかった.この結果は,量子計算の理論にも繋がる.4)無限次元フラクショナル Ornstein-Uhlenbeck過程とレヴィラプラシアンとをある作用素を導入することにより,関連付けることができた.この作用素は2)の核型空間の構成と深く結びついていて,レヴィラプラシアンの作用する空間のもつ特異性を打ち消す役目を果たす.また,この結果はレヴィラプラシアンに基づいた確率解析をファイナンスへ応用する際にその足掛りとなるものである.フラクショナルに限らず,一般の無限次元Ornstein-Uhlenbeck過程との関連性についてもこの結果を拡張することができる.3)の観点から,量子フラクショナルOrnstein-Uhlenbeck過程と量子レヴィラプラシアンとの関連性も得ることが出来る.本研究により,特に,ローマ大学ヴォルテラ研究所のAccardi教授との共同研究が始まり,その発展として,本理工学部数学科とヴォルテラ研究所との共同研究協定を結ぶに至っている.また,米国ルイジアナ州立大学のKuo教授との抽象Wiener空間上のレヴィラプラシアンの共同研究も量子論への拡張も含めて始めている.
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