研究概要 |
研究成果の概略は次の通りである.以下,(X,‖・‖x)は確率空間上のBanach関数空間とする. ・A. M. Garsiaによって導入されたマルチンゲールのBanach空間K_p(2〓p<∞)を拡張して,Banach空間を定義し,K(X)とXのノルムの間に成立する不等式を研究した.結果として,そのような不等式が成り立つBanach関数空間Xの特徴付けを与えた. ・一様可積分なマルチンゲールf=(f_n)に対して,f_∞=lim_nf_nとし,|f_∞|から生成されるマルチンゲールをAf=(Af_n)で表すことにする.このとき,f∈K(X)⇔Af∈K(X)となるようなBanach関数空間の特微付けを与えた. ・Burkholder-Davis-Gundyの不等式を拡張して,不等式‖Mf‖_x〓C_x‖Sf‖xが成り立つようなBanach関数空間Xの特徴付けを与えた.但し,Mfはfの極大関数を表し,Sfはfの2次変分を表す. ・f=(f_n)をマルチンゲールとし,Φ:R→[0,∞)をΦ(t)=Φ(-t),t〓0,かつΦ(0)=0であるような凸関数とする。Φ(f)=(Φ(f_n)は,マルチンゲールg=(gn)と可予測増加過程h=(h_n)を用いて,Φ(f_n)=g_n+h_nと一意に分解される(Doob分解).このようなf=(f_n),g=(g_n),h=(h_n)に対して,不等式‖h_∞‖x〓C_<x,Φ>‖Mf‖x及びsup_n‖g_n‖x〓C_<x,Φ>‖Mf‖xが成り立つようなBanach関数空間Xの特徴付けを与えた. 上記の結果は,いずれもマルチンゲール理論の視点から,Banach関数空間の構造を解明した結果であり,今後の更なる発展が期待される.
|