研究課題
基盤研究(C)
Hilbert空間上の時間変数係数摩擦項を持つ抽象線形波動方程式の解の漸近挙動が対応する抽象的線形放物型方程式の解と同じになることを示した。摩擦項の係数が小さく、たとえば、$-1$よりも大きい多項式オーダーの時間変数関数を摩擦擦項の係数として持つ線形波動方程式の解は、摩擦項のないフリーの波動方程式の解に漸近的に近づくことが知られている。一方、定数係数の摩擦項をもつ線形波動方程式の解は、対応する線形熱方程式の解に漸近的に近づくことも知られている。本研究では$-1$よりも小さい多項式オーダーの時間変数関数を例に含む、漸近的に小さくなるような時間変数関数を摩擦項の係数として持つ抽象線形波動方程式の解と対応する抽象線形放物型方程式の解の差のノルムの時間に関する減衰評価を示した。この評価は解自身の持つ減衰評価よりも速く、2つの方程式の解は同じ漸近挙動を持つことがわかった。すなわち、このときは、摩擦項の大きさが時間とともに減衰するにもかかわらず、摩擦の効果は十分であり、摩擦項をもつ線形波動方程式は線形放物型方程式に近いことがわかった。さらに、この抽象的結果を外部領域上の摩擦項をもつ線形波動方程式のDirichlet問題および第3種問題に応用した。次に非負自己共役作用素に対する摩擦項のある抽象Kirchhoff型双曲型方程式について考察した。初期値が十分小さいときには大域解の存在が知られており、この大域解は、時間が無限大に近づいたときに定数係数線形熱方程式の解に漸近することは容易に示すことができる。そこで今度はKirchhoff型双曲型方程式自身が形式的に非線形放物型方程式に近づくときを考える。近づき方をパラメータで表すことができるが、任意の初期値に対し、Kirchhoff型双曲型方程式が十分に非線形放物型方程式に近いときには大域解の存在が保証され、双曲型方程式の解と対応する放物型方程式の解の差のパラメータによる評価が知られている。しかし、今までの結果は時間に依存し、大域的な評価は得られていなかった。我々は2つの方程式の解の差に対しパラメータと漸近挙動を組み合わせた大域的評価を与えた。
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