研究概要 |
研究代表者 三沢は,主にm調和写像の自由境界問題を研究した.m調和写像の時間発展問題の弱解が時間局所的に存在し,空間一階導関数とともに時空領域においてヘルダー連続であることを証明した.解の存在する時間区間の幅は初期値のmエネルギーによって下から評価することができる.この解の最大存在時間での特異挙動は,定常問題の非定数解によって特徴つけられる(bubbling現象).この定常問題の解は,m次元球面から写像先の多様体への,あるいはm次元球体から写像先多様体への自由境界をもつm調和写像であり,写像先の多様体の極小部分多様体と考えられる(論文準備中).解の特異点は有限個であること予想しているが,その証明を現在,考察中である.m調和写像流の特異性は,高々有限個の定常m調和写像のmエネルギーの損失により起こること(エネルギー量子化)を予想し,その証明を考察中である. 研究分担者 利根川は,空間1次元Allen-Cahn方程式に対して大偏差原理に動機つけられた作用積分を考え,拡散界面の厚みを0に近づけたときの極限値はフォーマルなレベルで得られる界面生成コストと界面伝播コストの和で現されることを厳密に証明した. 研究分担者 中島は,4次元領域から3次元球面への定常調和写像の安定性と特異点の近傍での挙動の解析を行い,挙動の完全な分類を得た.現在,この結果の証明の議論を改良,発展させて,3調和写像の等角性について研究代表者三沢と共同に研究している.
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