研究課題
基盤研究(C)
本研究は、明るい赤色巨星の星周ダストによる微弱な散乱光を光学域において超高感度で捕らえ、星周ダストシェル分布を知ることで質量放出現象の時間変動性と方向性を探求しようとするものである。まず既存設備で星の周りの淡い光芒を捕えることを試みる。それと同時に恒星コロナグラフを開発し、中心星が光学域で明瞭に観察される明るい赤色巨星を系統的に探査し、質量放出で作られた星周ダストシェルを、中心星から0.1pc(3×10^<17>cm)を超える範囲にわたり二次元画像として検出することを目指す。そして、その構造解析から、かつてない詳細さで、質量放出の履歴を明らかにすることを目指すものである。既存設備による観測は、東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所において進めた。その結果、うみへび座U星(U Hya)でVバンドで25等級/平方秒角の面輝度の半径120"のほぼ円形のダストシェルを検出した。その輝度変動の測定を4ヶ月間試みたが観測期間内には有意な変動は検出できなかった。さらに、ダストシェル内に微細構造の存在を示唆する結果を得た。この微細構造は、質量放出の時間変動性、あるいは、非球対称性と関係している可能性もあり、今後のさらなる研究対象である。一方、焦点面マスクと瞳面マスクを装備したコロナグラフを開発し、りくべつ宇宙地球科学館115cm望遠鏡に搭載し、実際の観測を行った。期待通りにゴースト光、散乱光を抑えた画像を取得することができた。特に、RバンドでU Hyaのダストシェルを容易に検出することができ、ダストシェル探査にRバンドが有効なことを確認した。今後Rバンドでコロナグラフ観測を進めていく。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (9件)
AIP Conference Proceedings 948
ページ: 365-372
ASP Conference Series 378
ページ: 305-306
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 372
The Astrophsical Journal Letters 648
Journal of the Korean Astronomical Society 38・2
ページ: 81-84