研究課題/領域番号 |
17540224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
山田 亨 国立天文台, 光赤外研究部, 助教授 (90271519)
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研究分担者 |
林野 友紀 東北大学, ニュートリノセンター, 助教授 (10167596)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 銀河形成 / 高赤方偏移 / すばる望遠鏡 / 宇宙論 / 星形成 / 大規模構造 / ライマンアルファ / 輝線銀河 / 巨大ガス雲 / 原始銀河団 / 原始銀河 / 銀河の形成 / 銀河の進化 / ライマンα / 輝線 |
研究概要 |
Lyα巨大輝線ガス雲(Lyα Blobs, LABと略称する)とは、数年前から発見され始めた、数10kpcを越える広がりを持つ、高赤方偏移のLyα輝線天体であり、銀河形成の現場を直接観測することが出来る天体として、大きな注目を集めている。当初は、差し渡し100-200kpcのサイズを持つ非常に巨大なガス雲が数個知られていたのみであったが、最近の我々の観測により、赤方偏移z=3.1の輝線銀河の高密度領域に沿って30-200kpc広がりを持つLABが70個以上発見されるなど、高赤方偏移宇宙にある程度一般的に観測される天体であることが明らかになりつつある。これを受けて、本研究では、LABの研究において世界をリードするサンプルをつくるため、(i)高密度領域、及び比較のための一般領域を併せた十分な視野面積において、すばる望遠鏡によるz=3の輝線銀河のための深い狭帯域撮像観測を行い、多数の輝線銀河、とくにLABを検出して、銀河及びLABの分布を調べるとともに、(ii)同様の観測を、新しく作るフィルタを用いて赤方偏移z=2.4(近赤外KバンドでHα輝線の観測が可能)に展開することを目指した。 本課題研究期間を通じて、すばる望遠鏡によって取得したこれまででもっとも深く広い高赤方偏移の狭帯域撮像となるz=3.1 Lyα輝線銀河の(LAE)分布を解析し、とくに、LAE分布における数10Mpcを超えるスケールでの密度超過について詳細に調べるとともに、LABの探査、および、非常に等価幅の大きなLyα輝線の性質について解析を行い、次のような成果を得た。(1)観測した高密度領域は大スケールでも非常に希少と予測されるような極端な密度超過に相当することを求めた。このような構造が観測されることは構造形成論において予測される確率は実は非常に小さく、高赤方偏移の銀河形成における大スケールでのバイアスの存在を強く示唆しており、その物理的な原因の解明は高赤方偏移における銀河形成・宇宙の熱進化の解明に重要な因子となるだろう(2)巨大LABはとくに高密度超過のピーク領域に集中しており、密度超過領域が「銀河形成領域」と呼ぶにふさわしい銀河形成が特に現在進んでいる領域であることが明らかになった(3)とくに多数の輝線等価幅の大きな銀河が発見されにさらに密度ピークに集中している。より始原状態に近いガスから形成された「若い」銀河の「銀河形成る領域」への集中は大変興味深い.Z=2.4のフィルタについては、設計、製作に成功し、その透過率特性などの評価を行うことができた。今後、すばる望遠鏡の観測時間を獲得し、観測を行いたい。
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