配分額 *注記 |
3,730千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究の目的は3フレーバー(u,d,sクォーク)の動的クォーク効果を取り入れた格子量子色力学(格子QCD)のシミュレーションを行い、3フレーバーQCDが現実世界を正しく再現できるかを調べることにある。 1)格子QCDでは数値計算を可能にするため4次元時空を格子間隔がaの4次元格子に離散化する。このために、格子間隔に依存した系統誤差が生じる。格子間隔の2乗に依存した小さな系統誤差しか持たないO(a)修正ウィルソンフェルミオンを採用し、格子間隔の2乗がa^2〓0.005,0.01,0.015fm^2の3つの格子上で数値シミュレーションを行った。得られた物理量に格子間隔の2乗に比例した依存性があると考えa=0への外挿を行い連続理論での物理量の評価をした。中間子質量については1%レベルの誤差で実験値と矛盾しない値を得ることができ、またQCDの基本パラメーターであるクォーク質量に関しては、通常現象論的に用いられている値より小さな値となることを示した。 2)動的クォーク効果を取り入れたシミュレーションの計算時間はクォーク質量の3乗に反比例し、uクォークとdクォークのクォーク質量は約5MeVと非常に小さいので、現実的なu,dクォーク質量でのシミュレーションはまだできていない。1)の研究ではu,dクォーク質量を約50MeVから約120MeVの範囲で変化させ、計算結果をクォーク質量に対して外挿し、現実的なクォーク質量での物理量の評価をした。クォーク質量の外挿による系統誤差を小さくするために、従来用いられてきたハイブリッドモンテカルロ計算法を改良し、より軽いクォーク質量での研究を行った。計算法の改良には領域分割前処理法を用い、計算時間を大幅に短縮した。これにより、u,dクォーク質量が約10MeVから約50MeVまでのシミュレーションが可能になり、物理量の外挿精度をあげることができた。
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