研究概要 |
(1)ニュートリノ質量探査を目的とする二重ベータ崩壊実験(NEMO3)の国際共同研究に参加のもとで本研究テーマを実行した。^<100>MO核に対してニュートリノ質量を探索するモードとは別に標準模型で予想される二重ベータ崩壊モードの膨大なデータが蓄積されつつある。また同時に多くの核種(^<82>Se,^<116>Cd,^<150>Nd,^<96>Zr,^<48>Ca)の測定が同時に進行中である。 (2)実験の進行の過程において測定器内の微小残留ラドンガス濃度が、探査限界に影響を及ぼすことが判明し、高感度ラドン測定器、ラドンフリーガスシステムの供給装置の開発に中心的な役割を果たした。 (3)^<100>Mo核測定から得られた標準の二重ベータ崩壊モードのデータの統計量はすでに、10^6eventsの領域に達しており、普通に行われている典型的な(シングル)ベータ崩壊研究「ベータ線エネルギースペクトルの精密研究から標準模型とのずれを探る研究」等に匹敵する典型的な研究可能等軽量に達している。同様の研究をエネルギー和のスペクトル、二つのベータ線のエネルギー相関、角度相関を用いることにより二重ベータ崩壊でも進めることが可能であるが、そのためには、低エネルギー電子のメラー散乱、制動輻射などの振る舞いに関する精度のよい定量的な理解とシミュレーションプログラムの信頼性の限界を確かめる必要があり、そのようなことを目的とした研究を行った。 (4)^<100>Mo核以外に同時に多くの核種(^<82>Se,^<116>Cd,^<150>Nd,^<96>Zr^<48>Ca)の測定が同時に進行中であるが、特に^<48>Caの解析に携わり、主要バックグランド源となっている90^<Sr>の(比較的低エネルギーである)電子のメラー散乱のふるまいについて理解し、その結果、このバックグランドをきれいに分離するためのデータ解析法を開発した。
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