研究概要 |
1)重い電子超伝導体PrOs_4Sb_<12>の弾性定数(C_<11>-C_<12>)/2において,ラットリングが消失する低温で結晶場では説明できないソフト化が超伝導転移まで続くことを観測した。ソフト化がT_C以下で消失することから,重い電子超伝導とオフセンタートンネリングが強い相関をもつことを示した。 2)Pr(Os_<1-x>Ru_x)_4Sb_<12>の超音波実験を行い,C_<11>にラットリングに起因する超音波分散を観測した。分散はRu濃度が増すにつれて不明瞭になりx=0.7で消失した。PrOs_4Sb_<12>で活性化エネルギーEが最小であり,緩和時間t_0が最も長いことが分かった。 3)4f電子がないLaOs_4Sb_<12>の超音波実験を行った。C_<11>に超音波分散を観測しラットリングの存在を明らかにし,4f電子が存在しなくてもラットリングを示すことが分かった。また,4K以下で弾性定数のソフト化を観測し,トンネリングが発現していることを示した。 4)4f電子が3個存在するNdOs_4Sb_<12>の超音波実験を行った。C_<11>に2箇所の超音波分散を観測した。カゴ中のポテンシャルが,2つの活性化エネルギーと緩和時間で再現される複雑な構造をもつことを示した。 5)NdOs_4Sb_<12>で結晶場に起因した弾性定数のソフト化を観測した。四極子感受率による解析の結果,結晶場基底はG_<67>四重項であることを明らかにした。 6)La_3Pd_<20>Si_6とCe_3Pd_<20>Si_6では超音波分散が観測されずラットリングが存在しないことを明らかにした。ラットリングやトンネリングが発現するためにはカゴ状構造に加え伝導バンドが重要であり,電子-格子相互作用により非調和性の大きな量子状態が生じることを提起した。 7)Ce_3Pd_<20>Si_6の弾性定数に1/Tに比例したソフト化を観測した。結晶場は4aサイトでΓ_7基底,8cサイトではΓ_8基底で実験を再現できた。また,約180mKでソフト化が停止し,磁場中で反強四極子秩序相が存在することを明らかにした。
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