研究課題
基盤研究(C)
量子XXZスピン鎖は可積分量子スピン系を代表する重要な模型である。その異方性変数Δを変数qを用いて(q+1/q)/2と表す場合、qが1のN乗根の場合に系の対称性が拡大し、sl(2)ループ代数という無限次元の対称性が出現する。正確には、無限次元リー代数の有限次元表現が導かれる。縮退度は非常に大きく、格子サイズに関して指数関数的に増加する。正規ベーテ固有状態がsl(2)ループ代数の最高ウェイトベクトルとなることを、全角運動量演算子のz成分がNの整数倍となるセクターにおいて数学的に厳密に証明した。このとき、ループ代数の無限個の関係式を代数的ベーテ仮説を用いて組織的に証明した。また、スペクトル縮退を解析する数学的道具として、ループ代数の有限次元最高ウェイト表現が既約表現となるための判定条件を求め、厳密に証明した。この結果、縮退次元を求める基本的アルゴリズムが完成した。さらに量子XXZ鎖のツイスト境界条件の場合にもループ代数の対称性が出現することが示された。カイラルポッツ模型は2次元イジング模型を拡張する可積分模型である。量子XXZ鎖に出現するsl(2)ループ代数の対称性が、カイラルポッツ模型の転送行列の固有値スペクトルを解析する上で重要であることを明らかにした。カイラルポッツ模型とτ2模型の転送行列は互いに交換するが、超可積分カイラルポッツ模型において、冪零τ2模型の正規ベーテ固有状態から生成されるsl(2)ループ代数の最高ウェイト表現の全体がその不変部分空間を与えることを示した。
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