研究概要 |
平成17年度 1.平成16年度に行った研究成果を踏まえ,より現実的な外部からのノード除去(攻撃)の可能性として,波状的ノード除去に関するネットワーク構造の最適化に関して,解析的手法を用いた考察を行い,以下の定量的な結果を得た。 (1)ノード除去閾値はランダムなノード除去確率p_rと選択的ノード除去確率p_tの比p_t/p_rのみに依存する (2)二極次数分布を持つネットワーク構造が最も構造安定である。この場合の最適構造は小さい方の次数は1,大きな方の次数は(<k>-1+r)/rで決まる次数である。ここで<k>は各ノードの平均次数,rは大きな次数を持つノード数の全体に対する割合であり,1.7(p_t/p_r)の程度の大きさを持つ。 2.次年度(平成18年度)の研究計画を,機能安定性の研究から,外部からのノード除去に関して最も頑強であり構造的に安定である二極次数分布を持つネットワーク構造と,現実世界に広く存在するスケール・フリー・ネットワーク構造の関係を理解することに変更し,ネットワークの構造安定性についてさらに深く調べることとした。 平成18年度 1.二極分布構造とスケール・フリー・ネットワーク構造を連続的に考察することが可能なネットワーク構造として多極次数分布ネットワーク構造を提案し,解析的手法を用いて考察を行い,以下の定量的な結果を得た。 (1)ノード除去閾値はノード総数をN,次数分布のモード数をmとするときNのm-1分の1乗というパラメータの組合せでスケールされる。 (2)選択的ノード除去に関する頑強性が完全に失われる臨界モード数m_cは1+(0.62<k>-1)logNと表わされることがわかった。ここで<k>は各ノードの平均次数である。 (3)最適化された多極次数分布ネットワークは指数2.5〜3を持つべき乗分布となる。 2.研究成果を,非専門家にも理解しやすいように視覚化するソフトウエアの開発に着手した。
|