研究概要 |
本研究では,2台の850nm帯近赤外半導体レーザーの差周波を,低温成長GaAsフォトミキサーで発生させた.得られた周波数可変なテラヘルツ波を利用して,様々な物質のテラヘルツスペクトルを観測するための分光計を開発した.当該研究期間に得られた成果の概要は以下のとおりである. (1)テラヘルツ波発生:分光計の製作に先立ち,フォトミキサーのバイアス特性,周波数特性,入射光パワー依存性を測定し,テラヘルツ波発生の最適条件を見出した (2)分光計の評価:(1)で得られたテラヘルツ波を利用した分光計を製作した.この分光計により水,メタノールのスペクトルを観測し,分光計の評価を行なった. (3)分光計の高精度・高分解能化:(2)では,レーザーがフリーランニングであったため,レーザーの周波数変動が原因となり,分解能が10MHz程度であった.より高分解能のスペクトルを観測するため,CsD_2線の飽和吸収にレーザーをロックして,周波数安定化を行なった.また,テラヘルツ波の周波数は,波長計で測定したレーザー周波数をもとに決定していたため,測定精度が30MHzに制限されていた.そこで,EO変調器型光コムを利用して,テラヘルツ波の周波数を高精度に計測するための予備実験を行なった. 今後も研究を継続し,分光計の高精度・高分解能化を完成させるとともに,様々な試料のテラヘルツスペクトルを観測していく.
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