研究課題
基盤研究(C)
本研究は、差応力下における流体の存在状態を解明するための実験的研究、液相のミクロな存在状態とマクロな力学物性(弾性、粘性)とを結びつけるための理論モデルの開発、これらの実験及び理論から得られる力学的構成則に基づいて地殻やマントルにおける液相の存在状態と移動様式を予測するフォーワードアプローチ、の三つの部分からなる。主な成果は以下のとおりである。1、アナログ部分溶融岩石を用いて変形実験を行い、差応力下では固体粒子同士の結合(言い換えれば、液相による粒界のぬれ)が異方的になることを明らかにした。2、液相を含む多結晶体の弾性と流動性(粒界拡散クリープ領域の粘性)を記述する力学的構成則を、ミクロな内部構造を表すパラメータであるコンティギュイティ(固体粒子同士の結合状態を表す)の関数として導いた。3、2の理論によって弾性と粘性を同一の内部構造モデルで予測できるようになり、両物性の定量的比較が可能になった。粘性は弾性に比べてコンティギュイティに非常に敏感であり、0.1%以下の微小なぞルトでも粘性を大きく低下させることを示した。4、で述べた粒子スケールでの異方性により、粘性に大きな異方性が生じることを示した。特に、粘性テンソルが大きな非対角成分を持ち、応力や歪のせん断成分と体積成分がカップリングすることが分かった。5、4で述べたカップリングにより、せん断変形と流体移動の間に強い相燕作用が生じることを示した。その具体例として、せん断応力に勾配のある場では、せん断応力の高いほうへメルトが移動し、流体によるせん断変形の潤滑が生じることを示した。また、一様な単純せん断変形においては、メルトの集まった層がせん断面に低角に発達することを示した。6、粘性の異方性がメルトの流動パターンに大きく影響し得ることを、マントルウェッジを例にして示した。
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