研究課題
基盤研究(C)
海域では、富山湾東方海域の調査航海で海底地形調査と音響イメージングを実施し、結晶質塊状の固形メタンハイドレート露頭を発見・観察した。その結果,日本海東縁部における鮮新世以降の褶曲運動は炭化水素鉱床を形成したが、中期更新世以降に一層顕著になった断層運動により、断裂を経由する浅層への移動で海底に露出するメタンハイドレート層を形成したこと、メタンの移動・湧昇が局在化した箇所では、岩塩ドームに似た隆起地形"ハイドレートドーム"が形成されたことを確認した。陸域では、中部本州日本海側を調査対象に、現在進行中の地殻変動のGPS測地観測の継続と活断層の活動履歴調査を行った。新潟県中越地震の震源地を含む新潟平野からフォッサマグナを経て富山平野にいたる地域において、海陸両域にまたがる活断層の分布と交差構造を確認した。本邦第1級の跡津川断層についての地震地質学的な野外調査では、とくに断層東部のセグメントが最新活動で滑りを生じたことを確認した。これまで、安政飛越地震では、震源断層の西セグメントのみが地震性すべりを生じたとされていた。中部日本で頻発する地殻内地震の余震により、東西日本を分画する南北フォッサマグナの基盤構造と新潟-神戸構造帯と呼ばれる下部地殻ひずみ集中帯との交差重複現象が明瞭になり、本研究で斜交構造による諸現象の実像が現象論的に明かになったが、それら現象間の成因論的関係解明がつぎの課題として浮かび上がってきた。とくに海底や地表の諸現象と地震発生層直下の下部地殻との連関を解明する課題については、地形・地質学の手法だけでなく、地球物理学・物質科学などとの連携を強め、総合的な手法で研究を推進する必要がある。2008年度以降は、文部科学省の委託事業「ひずみ集中帯の重点調査観測・研究」に参画し新潟県中部で2〜3km間隔の稠密アレイによる合同観測を5年間実施する予定である。
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