研究概要 |
北海道の白亜系-第三系(K/T)境界付近の地層である蝦夷層群最上部の函淵層を対象として,天塩中川,大夕張,中頓別地域において,堆積相解析,大型化石層序,化石相解析,古地磁気層序解析を実施した.天塩中川地域では,浅海相の分布を高精度で把握し,上方に粗粒化・浅海化する6層のシーケンスを認定・追跡することができ,その形成過程を当時の古地理を考慮して考察した.大夕張地域では10層を越えるシーケンスが確認でき,中川地域との対比を行った.中頓別地域では白亜系-暁新統境界不整合を発見し,そのシーケンス層序学的意義を検討した. 北海道の白亜系中期(セノマニアンーチューロニアン)の浅海相が厚く発達する蝦夷層群三笠層については,幾春別川支流上一の沢〜芦別川上流地域で精密シーケンス層序を調べた結果,厚さ20〜100m強の上方粗粒化堆積相累重を示す第4オーダー・シーケンスが計12層も確認でき,それらは連続する3〜5層で計3枚の第3オーダー・シーケンスをなしていることを明らかにした. 東北日本の白亜系〜古第三系については,三陸海岸北部に分布する下部白亜系宮古層群の野外調査を進め,堆積相解析を行った.宮古層群の地質学的位置づけを明確にするために'蝦夷堆積盆南部から関東地方に孤立して局所的に分布する白亜系〜古第三系を含めた,先行研究の文献調査を行った.陸上地質だけではなく,石油探査などによる海域地下調査の情報も収集して総合的に考察することで,蝦夷堆積盆の南方〜西南方延長問題の制約条件を整理した.これによって宮古層群と西南日本東端の銚子層群との地質学的違いが明らかとなり,今後の研究の問題点について検討することができた.上部白亜系久慈層群でも野外調査を進め,堆積相・シーケンス層序および化石相・花粉層序解析を行った.
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