研究課題/領域番号 |
17550022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
橘高 茂治 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60068905)
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研究分担者 |
高原 周一 岡山理科大学, 理学部, 講師 (20289135)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 表面界面物性 / 水 / ダイナミクス / 多孔体 / ナノ構造 / ガラス状態氷 / 臨界サイズ / 液-液転移 / 制限空間 / 固相・液相変化 / 融解熱 / 界面自由エネルギー / 水素結合 / 非晶質化 / ガラス |
研究概要 |
一般的に細孔内の物質の凝固点、融解点は、細孔の大きさが小さくなるほど低くなる。この現象は古典的なGibbs-Thomsonの関係(GT則)で説明されてきた。本研究では、メソ多孔体MCM-41、SBA-15を用いて細孔内凍結水の融解エンタルピー、融解温度をDSC測定で精密に測定してGT則の限界を示した。また融解に伴う界面自由エネルギー変化が細孔径の減少とともに小さくなり、細孔径が3.6nm辺り(融点相当230K)で不連続なhumpを与えることを見いだした。これは、理論的に予測されているが、バルク水では実験的に検証できていない過冷却水の液一液転移(fragile-strong転移)が起こっていることを示唆している。また、細孔径が2.4nmより小さくなると、水が凍結結晶化しない過冷却水(ガラス状態)となることを見いだした。 細孔径2.1nmの細孔内で過冷却された水の並進運動のダイナミクスを中性子スピンエコーによって調べた。その結果、200Kにおいても水は運動性をもっていることが示された。緩和時間一温度の関係の解析から、229K辺りに水の状態の転移を示すモードの変化が観察された。この温度以上では、その関係は、Vogel-Fulcher-Tamman関数で最適化可能であり、それ以下の温度ではArrhenius型になることが分かった。すなわちこの系で、ガラス状態にある水の液一液転移が起こっていることを示している。従って、本研究ではバルク水では実現できない過冷却相(no man's land)を微小細孔内に出現できることを立証することができた。 氷の臨界結晶化サイズが、2.2nm近くであることが、細孔に閉じこめたアセトニトリルー水混合溶液中の凍結氷の融点測定から推定された。
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