| 研究概要 |
高周期14族元素からなる不飽和小員環化合物は、高周期元素多重結合の化学のみならず、芳香族化合物の化学としても化学的性質の解明には興味がもたれる。本研究では、特にシクロブタジエンジアニオンの高周期14族元素類縁体を合成し、その反応性および構造を明らかにした。
テトラシラシクロブタジエンジアニオンをカリウム塩として合成することに成功した。また、そのケイ素原子をゲルマニウムやスズに置き換えた誘導体も合成している。これらはいずれも環状6π電子系の化合物である。実験的かつ理論的に構造上の特徴を精査した結果、非芳香族化合物であることが明らかになった。また、このジアニオン誘導体はさまざまな遷移金属原子に対して環状π配位子として作用することが分かった。本研究期間中にW,Mo,Zr,Hf,.Co,Fe,Ru,Rhを中心金属としたサンドイッチ型、ピアノイス型遷移金属錯体の合成、構造解析に成功した。さらに、フェロセンのシクロぺンタジエン配位子の一つを、ケイ素原子2つとゲルマニウム原子1つを含む高周期14族元素からなるシクゴペンタジエン配位子で置き換えた新規なフェロセン誘導体の合成にも初めて成功した。その特異な構造をX線結晶構造解析、NMR、Cychc VoltammetryおよびDFT計算によって明らかにした。
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