研究概要 |
2'-アダマンチリデン-9-ベンゾノルボルネニリデン1と4,4'-テトラチオジモルホリン2,4,4'-ジチオジモルホリン3,4,4'-チオジモルホリン4のBronsted酸存在下での反応を検討した.Bronsted酸としてCF_3CO_2H,F_2CHCO_2H,NCCH_2CO_2H,p-TsOHを用いた2との反応では,いずれの場合も対応するチイランを与えた.カルボン酸を用いた場合には,pK_a値が小さくなると反応の進行が早くなることが分かった.しかしながら,多くの反応条件で生成したチイランの異性化や分解が観測された.硫化試薬の1に対する反応性の順は,2>3>4であった.また,Bronsted酸の代わりに金属トリフラートを用いた反応についても検討した. 反応性の比較的低い3を酸無水物で活性化させ,1に反応させることを検討した.1と3に対して1当量のTf_2O,TfOAc,Ts_2O,(CF_3CO)_2Oを用いた場合には,チイランは生成したが,反応条件でチイランの異性化と分解が観測された.しかしながら,過剰の無水酢酸との反応は,-15℃でも進行し対応するチイランを収率よく与え,チイランの異性化や分解も観測されなかった.この反応条件では,2,2'-ビアダマンチリデン5,trans-およびcis-シクロオクテン,6と7,も対応するチイランを与えた. N,N'-ジチオビスベンズイミダゾール8とN,N'-ジチオビス(1H-1,2,4-ドリアゾール)9のチイラン化能についても検討した.1と8の反応はCu(OTf)_2やSc(OTf)_3の存在なしに進行しなかったが,9の反応は触媒なしに-15℃でも進行し,対応するチイランを与えた.9は-15℃で5,6,7,ノルボルネン,anti-およびsyn-9,9'-ビベンゾノルボルネニリデンと反応し対応するチイランを与えた.なお,本反応は立体化学を保持して進行した.
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