研究概要 |
有機EL素子の研究開発においてキャリヤ輸送材料の開発は重要であり、さまざまな有機材料の合成研究が行われている。本研究課題では、電子輸送性の高いユニットをもっ1.新規配位子および錯体、2.新規オリゴマー・ポリマー、3.新規マクロサイクルの合成に焦点を絞り合成研究を行った。 1.新規配位子および錯体の合成研究 新たなりん光発光材料として、イリジウム錯体にキャリア認識部位を導入した化合物を合成し、高いEL発光効率を達成した(Eur.J.Inorg.Chem. 2006, 3676)。 (2)電子輸送性発光ユニットとしてホウ素錯体に着目し、配位子の構造と発光特性の関係を調査した。この結果、配位子の構造により発光波長をコントロールすることができると共に、EL素子の発光ドーパント材料として有望であるという知見を得た。 (3)電子輸送材料であるジアザフルオレンを配位子に有するルテニウム錯体を合成し、色素増感太陽電池の増感色素を開発した。この結果、代表的な色素と比較して高い性能を示した。 2.新規オリゴマー・ポリマーの合成研究 新たな電子輸送材料の開発として、1,3,4-オキサジアゾールをクロスリンカーに用いたアセンダイマーの合成研究を行った。この結果、アントラセンダイマーにおいて強い分子間相互作用が観測されると共に、基板上に整列することが明らかになった(Heterocycles 2007, 72, 85)。 3.新規マクロサイクルの合成研究 前年度の研究から、マクロサイクルは強い分子間相互作用をもつ結果、高い電子輸送性を有することが明らかになった。そこで、キャリア輸送性をコントロールする目的で、自己組織化能を有する環状2-フェニル-1,3,4-オキサジアゾールオリゴマー:四量体と三量体の合成研究を行った。この結果、特異な構造を有する超分子構造体が得られた(特許出願)。
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