研究概要 |
(1)o-(ジメチルシリル)(ジメシチルボリル)(1)に対してアルコール類を作用させると,脱水素縮合反応が進行することを見出した。ヒドロシラン1に対してメタノールをTHF中,室温で作用させると,水素の発生を伴って速やかに反応が進行し,対応するメトキシシランが定量的に生成した。2級および3級アルコールとの反応においても同様に対応するアルコキシシランが良好な収率で得られた。ヒドロシラン1とジエチルアミンとの反応においても脱水素縮合反応が進行し,対応するアミノシランが生成した。 (2)o-プロモ(フルオロジメチルシリル)ベンゼン(2)およびo-プロモ(フルオロジフェニルシリル)ベンゼン(3)に対して,Et_2O中,-78℃で1モル量のtert-BuLiを作用させると,o-(フルオロジメチルシリル)フェニルリチウム(4)およびo-(フルオロジフェニルシリル)フェニルリチウム(5)がそれぞれ生成した。 (3)フェニルリチウム4および5にフルオロジメシチルボランを反応させることで,o-(フルオロジメチルシリル)(ジメシチルボリル)ベンゼン(6)およびo-(フルオロジフェニルシリル)(ジメシチルボリル)ベンゼン(7)を高収率で得ることに成功した。6および7にトルエン中,室温でKF/18-crown-6またはKF/[2.2.2]cryptandを作用させると,対応するフルオロボレート7および8が生成した。 (4)フルオロボレート7および8の構造をX線結晶構造解析,多核NMRおよび理論計算を用いて調べた。その結果,ホウ素原子上のフッ素原子とケイ素原子との間に結合性の相互作用が存在することが明らかとなった。特にジフェニルシリル体では,フッ素原子とケイ素原子との距離が2.266Aであり,ケイ素原子と3つの炭素原子とが作る結合角の和が354°であることから,ケイ素原子まわりは三方両錘構造をとっており,5配位構造をとっていることがわかった。
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