研究概要 |
3d金属のNi,Fe,Co、4f金属のHfなどに加えてCa、Mgなどの各種金属のシリサイドについて高分解能蛍光X線測定を行い、Siの各種化学シフトからSi原子の有効電荷、すなわち化学結合状態を精密分析した。 FeSiなどを初めに、Ni,Co,Hfなどの遷移金属シリサイドに加えて、別の予備測定からSiが負電荷を有している可能性のあるMg_2Siと、比較のためのCaSi,CaSi_2などについて、SiK蛍光X線(1740eV)を0.01eVの精度で測定して、その化学シフトを明らかにした。これらの金属シリサイド半導体に加えて、各種シリコン化合物に対して、蛍光X線励起のEXEFSスペクトルを測定し、シリコン化合物ではそれぞれのEXEFSスペクトルとXAFSスペクトルと類似性を見出した。また9V乾電池による小型X線源を使って、X線吸収スペクトル測定が放射光をつかわずとも可能なことを提示した また高エネルギー分解能の超伝導検出器を使った同様な測定も実施した。これらの実験結果より実験室系でも金属シリサイド半導体などの化合物の電子状態分析が、シンクロトロン放射光なしでも行えることを明らかにした。 またプラスチック中の難燃材Brや他のBr化合物についても、Br K蛍光X線の精密測定からその有効電荷を求めた。さらに走査電子顕微鏡にSDD X線検出器を組み込み、環境試料や機能性素材の微小・ナノ試料などの組成や電子・化学状態の分析も同時に行った。またこれを使い、市販されている製品中の酸化チタン光触媒ナノ粒子のリスク評価を行った。
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