研究概要 |
触媒的不斉1,3-双極性付加環化反応による効率的光学活性複素環の合成研究として,カルボニルイリドを1,3-双極子として用い,1,3-双極子-LUMO/親双極子剤-HOMOの相互作用に基づく反応において,キラルルイス酸を用いる不斉誘起の可能性を検討した.o-メトキシカルボニル-α-ジアゾアセトフェノンより発生させたカルボニルイリドと電子過剰オレフィンであるシクロヘキシルビニルエーテルとの反応を10mol%の2,6-ビス(オキサゾリニル)ピリジン-Eu(III)錯体をキラルルイス酸として用いると良好なジアステレオ選択性(endo:exo=88:12)ならびにエナンチオ選択性(95% ee)で反応が進行することを見出した.また,2-(2-ジアゾ-1,3-ジオキソヘキシル)安息香酸メチルより発生させたカルボニルイリドの反応においては,ビナフチルジイミン配位子と過塩素酸ニッケル六水和物より調製した錯体(10mol%)がより有効に働き,endo体のみを高いエナンチオ選択性(93% ee)で与えることを見出した.種々の2-(2-ジアゾ-1,3-ジオキソアルキル誘導体に対する基質一般性も高かった.また,o-(p-ブロモベンジルオキシ)カルボニル-α-ジアゾアセトフェノンをカルボニルイリド前駆体とする3-クロロノイル-2-オキサゾリジノンとの反応においても,類似のYb錯体(20mol%)を用いると、高ジアステレオ選択的(endo:exo=>99:1)かつ高エナンチオ選択的(96% ee)に付加環化体が得られることを見出した。 ビナフチルジイミン-Ni(II)錯体をキラルルイス酸として用いるアゾメチンイミンあるいはニトリルオキシドと3-(2-アルケノイル)-2-オキサゾリジノン誘導体との不斉双極性付加環化反応における不斉誘起についても検討し,良好な結果を得た.
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