研究課題/領域番号 |
17550148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境関連化学
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研究機関 | 国立水俣病総合研究センター |
研究代表者 |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, 疫学研究部 リスク評価室, 室長 (00393463)
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研究分担者 |
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理学部, 教授 (60217552)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 総水銀 / メチル水銀 / 溶出試験 / 環境要因 / インキュベーション実験 / 組み合わせ実験 |
研究概要 |
本検討を実施するためには、環境省告示による前処理方法に基づいた水銀汚染土壌からの溶出液中に含まれる水銀を、迅速且つ正確に定量できなければならない。その意味で、本検討では従来から用いられていた、ジチゾン-トルエン抽出-GCECD法の分析プロセスを一部変えることにより、従来の10倍以上のメチル水銀検出感度を得ることに成功した。また過去において実施した中国貴州省での環境汚染調査より入手した水銀汚染土壌約200試料について、統括的な化学分析を実施すると同時に解析を実施した。その結果、当該地域の土壌の理化学的性質はアルカリ土壌であり、我が国の一般的な土壌とは異なる特性を有するが、化学形態別水銀の溶出特性に大きな違いがあることがわかった。すなわち、土壌中における総水銀およびメチル水銀含有量の相関は非常に高かった(r=0.89)が、各土壌の溶出試験結果で得られた水銀溶出量の関係でみると、その特性は明らかに異なり総水銀とメチル水銀の間には全く相関関係が認められなかった(r=0.16)。さらに、土壌中の総水銀濃度および溶出総水銀濃度との関係でみた場合、相関関係は認められたが(r=0.56)、土壌中のメチル水銀濃度および溶出してくるメチル水銀濃度との間には相関関係が認められまでには至っていない(r=0.36)。これらのことは土壌中における水銀の挙動が、単純な水銀の濃度勾配のみで支配されていないことを示していると考えられた。また他に、我が国を代表する4土壌種(黒ぼく土、褐色森林土、赤黄色土、シラス)を入手し、模擬汚染土壌(総水銀濃度100ppmとなるように塩化第二水銀溶液を添加)を、H17年11Aより約半年間に亘って20℃恒温室内で培養した。その結果、塩化第二水銀添加直後、黒ぼく土中のメチル水銀濃度が急上昇した。各土壌別のメチル水銀生成量は最終的な結果として、黒ぼく土、褐色森林土、赤黄色土、シラスとなり、一般的に言われている土壌中の有機物含有量と正の相関が認められた。一方総水銀濃度は、褐色森林土を除いて全般的にほぼ一定(100ppm)の濃度をもって推移した。次に本研究費で購入した人口気象培養装置を用いて、光、培養温度、土壌水分などの環境要因を適宜変化、組み合わせたインキュベーション実験を、上記培養土壌3種類(黒ぼく土、褐色森林土、赤黄色土)を用いて実施した。その結果、一時的に安定化している土壌であっても、周辺環境の急激な変化により、土壌中にある水銀は容易に化学変化をおこすことが示唆された。ただし土壌の種類によって変化の出方は一定しておらず、その傾向は基盤土壌特性に大きく影響されていることが予想された。総じた結果として、最も影響が大きかった環境要因は培養温度条件であり、この条件に光の有無などの条件が付加されることによって、土壌中の水銀に関する挙動も大きく変化していた。
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