研究概要 |
1.糖鎖の担体への固定化の化学 (1)多穂の多官能性アミノ化合物への固定 多官能性アミノ化合物として,キトサンヘキサマーの還元末端を還元した糖アルコールを用い,このアミノ基と糖鎖の還元末端のアルデヒド基との還元アミノ化を試みた。従来は還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウムが用いられてきたが,同化合物の有毒性に鑑み,他の還元剤を検討した。還元剤として,近年イミンの選択的還元に応用され始めているトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを検討している。 (2)硫酸化多糖の架橋 中性多糖の架橋に用いられているホリエチレングリコールジグリシジルエーテルの反応を硫酸化多糖に応用することを試みた。 中性多糖であるアガロースは同試薬により架橋されたが,カラギーナンおよび6一硫酸化アガロースである紅藻ハナフノリ多糖では架橋が阻害された。この架橋の阻害は,糖鎖の構造や硫酸基のイオン性による架橋剤の直接阻害ではなく,かさ高い硫酸基の立体障害によるものと推察された。 2.植物酸性多糖の構造解析 (1)紅藻カイメンソウ多糖 紅藻カイメンソウより硫酸化多糖を単離した。このものは,3,6-アンヒドロガラクトースを含み,硫酸基はガラクトース残基の4位,および他のequatrialの水酸基に結合するものと推察された。 (2)クワ葉酸性多糖の単離とその組織内での局在化 クワ葉の粘質物より5種の酸性多糖を単離・精製した。このうちの主画分はラムノース,ガラクトース,グルコース,ガラクツロン酸,グルクロン酸を含む多糖であった。この多糖は,クワ葉の特定の表皮細胞に局在しており,成熟葉では全表皮細胞の20%がこの多糖を含んでいることが明らかとなった
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