研究概要 |
本研究では,「柔軟性」と「高機能性」を併せ持つ薄膜トランジスタを,有機高分子ポリマーや無機層状構造半導体といった,構造に「異方性」をもつ低次元物質を用いて開発することを目標として実験を行い,以下の成果が得られた。 (1)異方的テンプレート構造を持っゲートSiO_x層形成手法の最適化 Si(111)微傾斜基板表面に,周期的な1次元凹凸テンプレート構造を形成することに成功した。 (2)ジアセチレン誘導体化合物配向膜形成手法の確立 Si(111)表面に,mmスケールで連続した単一配向ジアセチレン誘導体薄膜を成長することに成功した。 (3)ジアセチレン誘導体配向膜の異方的重合による長距離無欠陥π電子共役系の単一配向形成 単一配向ジアセチレン誘導体薄膜の光重合により,方向の揃ったπ電子共役系の形成に成功した。 (4)ゲート絶縁体としてとして利用可能な層状物質の検討 劈開したマイカ基板をゲート誘電体として用いる有機電界効果トランジスタ(FET)の作製に成功した。 (5)アモルファス基板表面上へのテンプレート構造転写 (1)の基板表面構造を,インプリンティング法によりPMMA薄膜表面へ転写することに成功した。 (6)異方構造を持つ熱酸化SiO_x基板上への面内高配向ポリチオフェン誘導体ポリマー薄膜形成テンプレート基板表面への水平付着法により,高度に面内配向したポリチオフェン誘導体薄膜が得られた。 (7)異方構造を持つ熱酸化SiO_x基板上へのC_<60>ドメイン位置選択形成 テンプレート基板上の表面エネルギー周期的変調により,C_<60>ドメインの位置選択形成に成功した。 (8)白雲母単結晶ゲート基板上での有機FET動作特性改善 マイカゲート表面のPMMAあるいはOTMS処理により,FET動作特性が大幅に改善された。 (9)層状化合物MoS_2の単層剥離手法の追求 MoS_2単結晶層間にLiを挿入後水と反応させることで,単層剥離が可能であることを確認した。
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