研究概要 |
一段階カソード電析法で作製したナノポーラス酸化亜鉛薄膜を用いた色素増感太陽電池用の増感色素の検索を行い、以下の知見を得た。 1)セミスクアリン酸のインドール部位に長鎖アルキル基を導入することで、IPCEの値を38.0%に改善できた。 2)オキサジン色素に、デオキシコール酸(DCA)を共吸着させることで会合体の形成を抑制し、IPCEを6.91%、変換効率を0.29%へと電池特性を改善できたが、色素吸着量も減少した。DCA添加による会合体形成の抑制効果と電流値を改善するための色素吸着量増加のバランスが重要であった。 3)2',4',5',7'-テトラフルオロ,-テトラクロロ,-テトラブロモ(eosin Y),および-テトラヨード(erythrosin B)フルオレセイン類では、IPCEは、I(73%)>Cl(69%),Br(65%)>H(40%)>F(24%)の順であった。 4)スクアリリウム色素のアンカー基では、カルボキシ基が最も良好な結果を示した。 5)ヘプタメチンシアニン色素では、アンカー基のカルボキシ基がヘテロ芳香環の窒素上にカルボキシエチル基として置換している誘導体が最も良好な性質を示した。また、シクロヘキセニル部位へエチル基を導入した誘導体が最も良い性質を示した(IPCE(29%)、J_<SC> (2.01mA cm^<-2>))。インドレニンの3位をジメチル基からジブチル基にすると、J_<SC>が2.30mA cm^<-2>に増加した。 6)導電性基板にPETフィルムを用いたフレキシブル酸化亜鉛色素増感太陽電池用増感剤へのスチリル色素の応用を検討した結果、ヘテロ環部位はベンゾチアゾリル基、アンカー基はカルボキシエチル基、カウンターアニオンとしてヨウ素を有するスチリル色素が最も良好な性質を示した。さらに電析条件、共吸着剤、セル作製条件、電解液等の最適化を行った結果、IPCE=54.5%、J_<SC>=6.22mA cm^<-2>、V_<OC>=0.53V、ff=0.59、変換効率(η)=1.94%に改善された。
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