研究概要 |
通常のNa型マイカよりもNa^+イオンが層間に2倍詰め込まれた高電荷密度型のマイカ(Na-4-マイカ)の簡単な新規合成法を見出した.Na型マイカおよびNa-4マイカの伝導度は,それぞれ650℃で1.2×10^<-6>S/cmおよび3.4×10^<-4>S/cmで,高電荷密度型のマイカは高い伝導度を示すことがわかった.Na-4-マイカのNa^+イオンをLiCl水溶液でイオン交換した.得られたイオン交換体の層間イオンは水和したLi^+イオンであった.加熱して水和したLi^+イオンが脱水するにつれ,伝導度は高くなり650℃で3.2×10^<-4>S/cmを示した.次に,Na-4-マイカの層間のNa^+イオンをNH_4^+イオンとイオン交換した.600℃で焼成したイオン交換体は600℃で1.3×10^<-6>S/cmの伝導度を示した.この伝導はNH_4^+イオンが動くのではなく,NH_4^+イオンからプロトン(H^+)が遊離することで生ずると推察された.1000℃で焼成したイオン交換体は,層間がプロトンの三ケイ素型マイカに近い構造のマイカに変化しており,650℃で7.9×10^<-8>S/cmの伝導度を示した.さらに,Na-4-マイカのNa^+イオンを酢酸水溶液でイオン交換した.イオン交換体の層間イオンはオキソニウムイオンであった.600-1000℃で焼成したイオン交換体はNH_4^+イオンのイオン交換体を1000℃で焼成したイオン交換体と同じ構造と考えられ,それらの伝導度はほぼ同程度であった. Na^+イオンとイオン半径が近いCa^<2+>イオンが層間に多量含む高電荷密度カルシウムマイカが析出した結晶化ガラスの作製を試みた.その結果,高電荷密度マイカ組成のアルミナの一部を酸化ホウ素とすることで,高電荷密度カルシウムマイカが析出した結晶化ガラスが得られた.これは650℃で2.2×10^<-6>(S/cm)の伝導度を示した.
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