配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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研究概要 |
本研究では,二酸化チタン(TiO_2)微粒子への可視光照射で起こる電荷移動過程を詳しく調べる目的で,部分的に水素還元または色素モデル分子を吸着させた可視光応答型TiO_2微粒子に77Kで可視光を照射し,生成する常磁性種の性質とその電荷移動過程に関するin-situ ESR観測を行った。 (1)部分的に水素還元したTiO_2(P25)では,表面に生成したTi^<3+>(捕捉電子)のESRスペクトルの光応答は可逆的に起こった。可視光照射により、捕捉電子の一部はアナタースからルチルへの移動することがわかった。 (2)部分的に還元したTiO_2(ルチル)に酸素を吸着させることで表面に生成したO_2-については,Ti^<3+>との間で可逆的な光誘起電子移動反応が起こることを見いだした。この電子移動は,O_2-の捕捉サイトの種類に依存して起こることがわかった。 (3)2-プロパノールを溶媒に用いたTiO_2(アナタース)スラリー系では,色素モデル分子としてナフトールを吸着させることで,可視光応答性を発現させ,可視光照射により生成した電子とホールに由来する化学種を共にESR測定した。可視光のON-OFFに伴う電子およびホールに由来する化学種の濃度の時間変化をin-situ測定し,TiO_2-ナフトール間の電子移動素過程について速度論的解析を行った。その結果、内部Ti^<3+>だけでなく表面Ti^<3+>も電子移動の素過程に含まれていることがわかった。 本研究では,可視光応答型TiO_2における電荷分離効率の評価にESR法が有効であることを示しただけでなく,TiO_2への可視光照射に伴う電荷移動過程に関する興味深い基礎的知見を得ることができた。
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