研究概要 |
酸二無水物として1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を、スルホン酸ジアミンとして4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルー3,3'-ジスルホン酸(BAPBDS)、ビス(4-スルホフェノキシ)ベンジジン(BSPOB)および新規に合成した2,2'-(4-スルホフェニル)ベンジジン(BSPhB)と2,2'-(4-スルホフェニル)-4,4'-ジアミノジフェニルエーテル(SPhODA)を、そして非スルホン酸ジアミンとして4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)などを用い、共重合スルホン化ポリイミド(SPI)を合成した。SPI膜を130℃の加圧水に浸漬し、膜の耐水性を評価した。耐水性は、スルホン化ジアミンに大きく依存し、BSPOB>BSPhB>BAPBDS>SPhODAの順であった。スルホン化ジアミン残基のイミド環が加水分解し、切断されてオリゴマーが生成し、高温水中に溶出する。BSPOB系SPI膜は、130℃水中で500h以上の耐水性を有した。これらのSPI膜を五酸化リン/メタンスルホン酸溶液に浸漬してスルホン基架橋膜を作製した。架橋膜はさらに高い耐水性を示した。 BSPOB系架橋SPI膜を用いたPEFCは、90℃、85%RH加湿の水素/空気0.3MPaの操作条件下で、0.5A/cm^2の定負荷電流で1600h連続運転した結果、電位と膜抵抗は全く変化せず、高い耐久性を有した。30wt%メタノール供給のDMFCで、ナフィオン膜では発電できなかったが、SPI膜では、50〜70mW/cm^2の最大出力が得られた。ナフィオン膜では、負荷電流の増加と共に、メタノールクロスオーバと水透過量流速が大きく増加するのに対して、SPI膜では両者ともほとんど変化しなかった。このことが、DMFC発電性能の違いを生じた。SPIを触媒被覆イオノマーとして用い、Pt/CおよびPt-Ru/C電極とMEAを作製した。DMFC発電で、アノード触媒電極は、ナフィオンイオノマーを用いる触媒電極とほぼ同等の性能を有するものを作製できたが、カソード電極では、ナフィオンの70%の性能であり、しかもカソードガスを酸素から空気に替えると性能が大きく低下した。酸素ガスの拡散を改善する必要がある。
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