研究概要 |
脳内の興奮部位を頭部表面における電磁場の値から推定する数学モデルに対してのソース逆問題を取り扱っている.この問題はモデルの簡単化および定常問題とすることにより,ポアソン方程式に対する双極子ソース逆問題として記述される.我々は電磁場双方のデータを用いて双極子の位置とモーメントを直接的に推定する方法を提案した.さらに非定常問題として,時間的に調和な揚合に対する推定法も発表した.この方法は重み付きの境界積分に基づいており,推定誤差の評価も可能な方法である.従来,誤差評価可能な推定法は殆ど発表されておらず,有意義な成果であると考えている. 時間的に調和な場合はヘルムホルツ方程式によって記述されるが,さらに一般的な非定常問題として3次元波動方程式のソース逆問題に対する解法の構築を行った.ソース項のモデルとして位置は固定であり強度のみが変化する1つの点波源に限定しているが,我々が従来から用いている方法を拡張することにより,このような非定常問題に対しても有用な解法を得た.波動方程式などの非定常問題に対するソース逆問題の研究は世界的にも数少なく,重要かつ有意義な研究である. すでに述べたように,我々の提案する解法は重み付きの境界積分に基づいているが,その中で代用電荷法を用いている.しかしながら代用電荷法は理論的な検討が十分になされていないため,数値的に研究を行い有意義な結果を得た(論文は投稿中).さらに生体に関する問題のみならず,広く逆問題に対して応用面・理論面から検討を行い,研究発表欄に示す雑誌論文・学会発表に加えて,国際会議等においても発表を行った.
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