研究概要 |
現在,セル集合体である生体組織の工学的力学特性同定技術の診療・治療分野への導入が望まれるが,この特性は細胞レベルの特性に由来するものであることから,工学的な理論や技術を直接応用できない場合もある. まず,対象となる細胞組織の変形挙動を正確に観察する目的で,顕微鏡下用の十字型2軸引張試験機に関して駆動部にステップモータによる位置制御を可能とするシステムを付加した.特に,顕微鏡の水平ステージに乗せることを可能とするように,2基の小型駆動装置を予定通り設置した.これらの制御に関しては,PCおよびマイコンによる制御システムとなった.また,並列計算で分割領域毎に演算負荷が異なる場合に,その負荷を均一になるシステムの検証を行った.次に,顕微鏡下用の十字型2軸引張試験機システムを用いることで,研究対象となる細胞集合組織の挙動観察を行った,この結果,当初の予想に反して,細胞液めみと思われていた領域に繊維質等の構造体の存在が予測される結果となった.また併せて,異なる物質間で効率的に並列計算ができるアルゴリズムを開発した.さらに,大規模計算で対象となるマクロ変形挙動を対象としながら,特に生体軟組織の変形挙動,および多孔質材の変形挙動,という2つのアプローチにて有限要素解析に不可欠な構成関係の検討を実施した.特に,動的変形と多軸変形に焦点を置いた. これらの成果によっては,複雑なセル集合組織の変形挙動を理論的に反映させた数値シミュレーションの開発と,それと並行してバイオロボットによる研究領域が発展することによって,軟組織が生体挙動に与える影響を明らかに出来るが期待できる.
|