研究概要 |
本研究では,化学物質を含有する加工液の廃棄処理問題を踏まえ,水のみを用いる電気防錆加工法を開発し,従来から用いられている円筒研削,平面研削,内面研削加工に適用しその加工性能を評価した.さらに,電気防錆法を応用したアノードとカソードを用いた水中保管システムを構築し,防錆効果を検証した.研究成果の概要を以下に示す. 水のみを加工液に使用した電気防錆加工法を円筒研削加工に適用し,研削液を用いた場合との研削性能との比較した.スカート付きノズルと絶縁センタを開発することにより,長時間にわたる工作物の防錆加工を実現した.さらに約0.21Wの微小電力で1時間の防錆加工が可能となり,水における研削性能比は研削液に対して71.5%を示した. 平面研削加工においては,工作物を水中に沈める完全浸漬型プール電極を設置し,約10mAの電流供給量で約1時間の防錆が可能となった.そしてプール電極を用いることにより安定した電流が供給されコンタミネーションの工作物の付着を抑制した.さらに本研究における研削性能比は研削液に対して88%を示し,工作物の表面粗さにおいても研削液を用いた場合と同様な値となった. 内面研削加工では,最長1時間の防錆を可能にし,水のみでの加工を実現した.そして,この場合の研削性能は研削液を用いた場合の76%を有することが,研削抵抗および表面粗さの評価からわかった. 油剤・防錆剤を用いない水中保管法を電気防錆法の応用により開発した.防錆が可能となる期間は3日間にわたり,本保管法の有用性を立証した.そして,消費電力は0.03Wとなり運転コストの面においても良好な結果が得られた.
|