研究概要 |
(1)小型プレス穴あけ実験装置の試作 小径のプレス穴あけ加工,あるいは矩形や歯車形状等の異形穴のマイクロ穴あけ加工に関し,適正なクリアランスを求める実験を行うためには,パンチとダイの中心を正確に一致させることが非常に重要となる.特に異形穴の穴あけ加工に対しては,中心の一致だけではなく,パンチとダイの角度関係の測定と調整も必要になる.このため,矩形穴などの異形穴の穴あけ加工にも対応可能な小型プレス穴あけ実験装置の試作を行った. (2)パンチとダイの中心を合わせるための測定系の構築 一般にクリアランスの量は板厚が薄くなればなるほど小さくなっていくため,金属薄板においてパンチとダイのクリアランスを均一に保つことは容易ではないが,パンチとダイの中心を正確に一致させ,クリアランスを均一に保つ技術は,本研究を推進する上で必要不可欠の技術である.クリアランスを均一に保つ方法として,本研究では,一般の光学顕微鏡と画像処理システムによるパンチとダイのクリアランス・軸心の精密計測を試みた.穴径1mm,全長20mmのダイの裏側から,倍率2倍の顕微鏡とCCDカメラを用いてパンチの端面とダイの穴を撮像する実験により,画像処理によりパンチとダイの中心合わせを約1μmの精度で実現することに成功した.また,同じ装置により50μm角の四角穴の打ち抜き加工の使用するパンチとダイの位置合わせを行えることを確認した. (3)微小なパンチとダイ(特に矩形穴加工用)の放電加工による製作 マイクロ放電加工により50μm角程度の矩形穴を対象とするパンチとダイのセットを製作し,それを対象として実験を行った.従来,マイクロ放電加工により微細な工具電極を製作し,それを用いてダイの加工を行い,放電加工機上で打ち抜き加工を行うことは試みられてきたが,本研究ではパンチとダイを製作した後,小型プレス穴あけ装置にセットし,両者の位置合わせを上記計測系により行うことに成功し,20μm厚の金属箔の穴あけ加工が可能なことを示した.
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