研究概要 |
一様な断面形状を持つ長尺材を製造する方法として用いられてきた押出し加工法に対して,製品断面の寸法形状を変化させる方法が提案されるなどフレキシブル化の動きが見られる.長手方向に対する垂直断面内での形状変化は押出し時の材料流動を変化させ,押出し後の製品に曲がりを発生させる原因となる.このため,押出し加工のフレキシブル化には,押出し時の材料流動から曲がりを制御する技術の開発が不可欠である.押出し時の材料流動を制御するため,押出しダイスを押出し方向に対して傾斜させた方法を提案し,これまでにもメカニズムについて数値的に検討している段階である.本研究では,数値計算と実験の両面からフレキシブル加工時の成形メカニズムについて解明を試みた. 第1章では,出口形状が,矩形および台形形状を有するダイス傾斜押出し時の材料流動を数値解析した結果についてまとめた.数値計算による可視化結果から,曲がりが発生するメカニズムやダイス出口形状が押出し材の曲がりに与える影響を解明した.押出し時における出口近傍の材料流動を制御し,複雑な形状を持つ湾曲した製品を製造する方法として,押出しダイスを押出し方向に対して傾斜させた方法を提案している.矩形棒の曲がり現象のメカニズムを解明した. 第2章では,湾曲矩形管押出し球形のメカニズム解明のため,数値計算により湾曲矩形管成形における押出し材の曲がりについて検討した結果についてまとめた.押出し比が,傾斜ダイスを用いた矩形管成形時の曲率に与える影響を数値計算により評価できることを確認できた.出口下部の材料流動の抑制領域とコンテナ形状に起因する出口上部の材料流出速度の増加が,押出し材の曲がりに影響することを明らかにした. 第3章では,曲率に及ぼす出口位置の影響について評価した.
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