研究概要 |
ナノ・マイクロトライボロジーの分野において未だ解決されていない「耐摩耗性と摩擦力の極小化」の両特性を併せ持つ機能性表面の創成と,低摩擦発現メカニズムの解明及びその制御パラメータの確立を目指す.平成17年度は,フェムト秒レーザによる超微細テキスチャリングと環境制御下での凝着力測定に主な課題として研究を行った.平成18年度は,低摩擦発現・持続のための制御パラメータの確立と発現機構の解明を主な課題とし,環境制御型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて,窒素ガス中および相対湿度を変化させた大気中でナノ摩擦試験を行った.また,平成17年度に開発したペルチェ素子を利用したAFM用試料ステージを用いて,凝着力に及ぼす相対湿度の影響について調べた.さらに,DLC膜のマイクロ領域での摩擦試験も行った. (1)フェムト秒レーザによる超微細テキスチャリング(微細表面構造制御加工) 成膜した耐摩耗性を有する硬質皮膜に対して,フェムト秒レーザによる表面処理を行うことにより,微細に構造制御した皮膜表面を創製した.また,表面構造を制御するためのレーザ照射条件を各種試行した. (2)ペルチェ素子を利用した独自のAFM用試料ステージの開発 表面上の雰囲気気体の凝集を急速な冷却・加熱によって制御できる試料ステージを試作した. (3)ペルチェ素子を利用した独自のAFM用試料ステージによる凝着力の測定 表面上の雰囲気気体の凝集を急速な冷却・加熱によって制御できる試料ステージを組み込んだ雰囲気制御型AFMを用いて,相対湿度を変化させた大気中での凝着力の測定を行い,接触角と凝着力との相関関係について調べた.特に,水の凝縮が生じる露点前後での凝着力の変化について詳細に検討し,その影響について考察した. (4)各種雰囲気中でのナノ摩擦試験 曲率半径の異なる数種類の探針を用いて摩擦力と凝着力の表面形状依存性・荷重依存性・速度依存性を調べ,表面分析の結果と併せて低摩擦発現・持続のための制御パラメータからその発現機構について検討する. ・各種雰囲気中での超微細テキスチャ形状と摩擦力の関係 ・各種雰囲気中での凝着力(pull-off force)の測定 (5)DLC膜のマイクロ摩擦試験 mNオーダーの微小荷重変動型往復摩擦試験機を用いて,マイクロ領域でのトライボロジー特性について検討し,さらに広範囲の実用性・汎用性について調べる.
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